相続土地国庫帰属制度 売却促進へ評価額を見直し 最大93%減も
2026/08/07
財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)はさきごろ、第68回国有財産分科会を開き、相続土地国庫帰属制度により国庫に帰属した土地の売却促進に向け、買受け等の要望がなく処分に至らない土地について、市場の反応を踏まえて評価額を段階的に引き下げ、最終的に当初評価額から最大93%減額する方針を示した。
相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した土地について、一定の要件を満たす場合に国が引き取る制度として令和5年に始まった。令和8年3月末時点で国庫に帰属した土地は2606件。このうち1586件を財務局等が引き受けている。
国庫に帰属した土地には、市場性に乏しいものが多く、土地の状況や周辺の環境を踏まえ、売却の可能性が見込まれるものは一般競争入札に付しているが、現時点で売却に至ったものはない。
こうした状況を踏まえ、隣接土地所有者への随意契約の活用、測量・境界確定協議等を行わない現状有姿売買の導入、簡易な評価手法の適用(鑑定評価ではなく職員評価)などの対応が進められているが、簡易な評価手法の適用について算定方法等の見直しを行うことが示された。
具体的には、適用対象とする土地の基準が見直されるほか、取引の条件による評価額の修正、市場の反応に応じた評価額の修正が行われる。
取引の条件による評価額の修正では、まず、国庫に帰属した土地について財産情報および買受けの判断に当たって参考となる価格を財務局等のホームページに掲載し、3か月間、公的取得要望および一般の買受け等の要望を受け付ける。受付期間終了後、国庫に帰属した土地を随意契約により売却する場合には、新たに現状有姿による売買を導入する。
一方、現状有姿による売買は、契約の特約条項により国(売主)が負うべき将来コストや損害リスクが買主に移転される。このため、こうしたリスクの移転(取引の条件)を適切に反映するため、評価額を30%減額することを標準とする。

次に、市場の反応に応じた評価額の修正として、受付期間終了時に要望がなかった場合には、上記の修正を行った上で引き続き同ホームページに掲載し、要望の受付を行う。このように買受け等の要望を広く受け付ける過程において、市場における需要の有無が把握できることから、需要がないことをその都度確認したうえで、段階的に評価額の修正を行うこととした。
1回目の修正は、物件情報を公表した日から起算して3か月を経過する日以後、10%の減額。2回目以降は、修正後の参考価格を公表した日から起算して3か月を経過する日以後、その都度10%減額とした。
資料では、当初評価額を100とした場合の評価額の推移がグラフで示された。まず、取引の条件による修正により30%減額して「70」からスタート。その後は市場の反応に応じた修正として3か月ごとに10%ずつ減額。スタートから3か月後に「63」、半年後に「56」、9か月後に「49」と推移し、2年3か月後には「7」という数字が記されている。
分科会に出席した委員からは、「一般競争入札による売却実績は現時点で0という状況を踏まえれば、随意契約や現状有姿売買、段階的な価格修正などの方策は実務上必要な対応」、「管理コスト低減や利活用促進も含め、土地の所有やコスト分担について議論をし、低未利用土地の流通促進に向けた新たな制度展開の可能性を期待したい」などの意見があった。
買受け等の要望がなく処分に至らない「相続土地」については、国による土地の管理コストや財務局等の事務コストが長期にわたり継続的に発生する。今回の見直しが、国庫に帰属した土地の有効活用や管理コストの縮減につながるか注目される。